歯ぐきがはれた・歯ぐきが痛い

歯ぐきの腫れや痛みは、さまざまな原因によって引き起こされます。主な原因を以下で説明します。

歯周病

歯と歯ぐきの間にプラーク（歯垢）がたまり、体の防御反応として歯ぐきに炎症を引き起こす「歯肉炎」、進行して歯を支える組織が溶かされる「歯周炎」等を総称して、「歯周病」といいます。日本人の40歳以上の約8割が歯周病に罹っていることが明らかになっており、歯ぐきの腫れや痛みの主要な原因となっています。

歯ぐきの腫れは歯周病の初期段階でみられる症状です。この段階では痛みがないことも多いですが、歯みがきのときに出血がみられることがあります。歯周病が進行すると、歯がグラグラするなどの症状がみられます。歯ぐきの炎症がひどくなり、腫れや痛みが強くなることがあります。さらに歯周病が進行すると、最悪の場合、初期の段階で適切な治療を行うことが重要です。

歯ぐきの外傷

歯みがきのときに歯ブラシが強く当たったり、硬い食べものや魚の骨などによって歯ぐきが傷つけられたりすると、一時的な歯ぐきの痛みが生じることがあります。このような歯ぐきの腫れや痛みは自然におさまる場合が多いですが、傷口が細菌に感染すると症状が悪化するため、注意が必要です。

口内炎

口内炎は頬の内側に生じることが多いですが、歯ぐきに生じることもあります。数日〜1週間程度で自然に治ることがほとんどです。生活習慣やストレスが原因になっていることもあるため、頻繁に口内炎が生じるという方は、生活習慣を見直すことも重要です。

膿瘍（のうよう）

歯ぐきの中に膿がたまる膿瘍（のうよう）も、歯ぐきの痛みや腫れを引き起こす原因のひとつです。膿瘍は、むし歯や歯周病が進行して細菌が歯の根の先や歯ぐきの内部に感染することで生じます。膿がたまると圧力がかかり激しい痛みを感じる場合があります。

がん

口腔にできる悪性腫瘍を口腔がんといいますが、とくに歯肉にできるがんを歯肉がんといいます。歯肉がんは、口腔がんの中で舌がんに次いで2番目に多いがんです。歯肉がんの症状は、初期では歯周病の歯肉炎と診断されてしまうことも多く、診断が難しい場合があります。治りにくい歯ぐきの腫れがある場合は、注意が必要です。

歯ぐきの腫れや痛みの治療は、原因に応じて異なります。一般的な対処法・治療法について解説します。

歯周病の治療

歯周病によって歯ぐきの腫れが生じている場合は、歯周病の治療を行います。歯周病の基本的な治療は、正しい歯みがきが重要であるため、歯科医師や歯科衛生士からの歯みがき指導を行います。その後、歯ぐきの上の部分や歯周ポケット内のプラークや歯石を取り除きます。歯周病の予防と治療には、初期の歯周病の場合、歯ぐきの腫れは丁寧な歯みがきやクリーニングで改善することが期待できます。

膿瘍（のうよう）の治療

初期の歯周病や歯の根の炎症（根尖性歯周炎）、膿瘍が小さい場合は、歯ぐきを切開せずに済む場合があります。このような膿瘍では、プラークや歯石の除去、歯の神経の治療（根管治療）などにより、歯ぐきの腫れや痛みが軽減できる可能性が高いです。

重度の歯周病や歯の根の炎症（根尖性歯周炎）の場合、歯ぐきを切開して膿や膿の袋を除去するなどの処置が必要な場合があります。

歯ぐきの腫れや痛みを予防するには、日々の適切な口腔ケアが重要です。

歯ぐきの腫れや痛みを引き起こす歯周病は、正しく丁寧な歯みがきにより予防することができます。歯周病の原因となるプラークをためないようにすることが大事です。デンタルフロスや歯間ブラシを使用すると、歯ブラシだけでは落としきれない歯と歯の間のプラークを除去することができます。

また、歯周病は生活習慣との関連性が高いため、バランスのとれた食事や十分な睡眠、ストレス解消などにより生活習慣を改善することも、歯ぐきの腫れや痛みの予防に有効です。